臨床研究

シャーガス病臨床研究について

埼玉医科大学 臨床感染症センターではシャーガス病の臨床検査依頼を受け付けています。
問い合わせ先
埼玉医科大学 微生物学 前田卓哉 t_maeda@saitama-med.ac.jp

本研究は一般社団法人 日本感染症学会 日本感染症学会臨床研究促進助成「我が国に居住する南米出身者のシャーガス病罹患状況調査と診療支援体制の構築」に採択されました。

検体収集の御協力を、どうぞよろしくお願いいたします

検査依頼の手順について

1.検査のご依頼

 担当医の先生より、埼玉医科大学 微生物学 前田宛
(t_maeda@saitama-med.ac.jp)にメールでご連絡ください。その際、簡単な経過をお示しいただけると幸いです。

2.検査手順のご案内

 当講座の担当者より、検査の手順や検体の送付方法などにつきまして、必要書類一式とともにご案内いたします。

また必要書類は下記からもご覧になれます。

説明文

同意書

同意撤回書

症例調査書

3.検体の送付、同意書取得

 患者さんに検査に関する説明及び同意を取得して頂いた後、検体を当教室へご送付ください。検査説明、同意書の取得は、依頼元の医療機関・担当医師にてお願いしております。

4.シャーガス病抗体検査、遺伝子検査の実施

 検査費用については、当科負担で実施いたします。

5.担当医への結果返却

 検査結果については、抗体検査は通常即日~1週間以内、遺伝子検査は1週間程度で返却いたします

シャーガス病とは?

1.概要

 Chagas病は、Trypanosoma cruzi原虫(以下T. cruzi)によって引き起こされる慢性感染症です。サシガメと呼ばれる吸血昆虫によって媒介されるため、主に中南米を中心に700万人が感染していると推定されています。感染後無症状に経過したのち、10-30年を経て、不整脈・心不全などの心合併症や、巨大結腸症や巨大食道症などの腸管合併症を引き起こします。

2.国内におけるChagas病

 国内には多くの南米移民の方が居住されており、約3,000-4,000人の方が南米でChagas病に罹患し、無症候性もしくは有症状性に国内に居住されていると想定されています。長期間無症状に経過するため、国内では多くの患者様が未診断もままであると考えられています。また国内にはサシガメは存在しませんが、血液中に原虫が持続的に放出されるため、先天感染・輸血感染・移植後感染の危険性があります。 
 当グループでは2019年に国内Chagas病患者の臨床症状について報告(Trop Med Health 2019)したほか、2014年にシャーガス病先天感染と診断された症例(Emerg Infect Dis 2014)を報告しております。

3.国内におけるChagas病診断

 シャーガス病の診断は主に抗体検査で実施されます。また補助診断として、血液培養検査・PCR等も施行されます。しかし、国内では保険適応のあるChagas病診断検査は存在せず、また外注可能な検査施設も存在しません。 
 現在、埼玉医科大学 微生物学講座では、国内における患者数、臨床情報の収集と、最適な検査系の確立のため、前向き調査として国内医療機関からシャーガス病に対する検査依頼を受け付けております。

4.対象患者

 検査依頼は、国内の医療機関からのみ承っております。 
対象は、医療機関を受診された方で、下記の理由からChagas病を疑われた患者様につき承ります。 

1.中南米で生まれた、または育った方。 
2.母親または母方の祖母が中南米で生まれた方(先天感染疑い)。 
3.中南米の流行地に4週間以上滞在された方。 

 不整脈、心不全など有症状の患者様だけでなく、無症候性の患者様についても検査可能です。